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超並列的な遺伝子ビーズクローン解析法によるシロイヌナズナの転写複雑性の解析

Nature Biotechnology 22, 8 doi: 10.1038/nbt992

mRNA由来の短いタグの塩基配列決定を大規模に実施することによって、複雑なトランスクリプトームを定性的かつ定量的に解析することができる。本研究では、Arabidopsis thalianaのライブラリー5種類に由来するタグ12,304,362個の塩基配列を、超並列的な遺伝子ビーズクローン解析法(MPSS)を用いて決定した。別々の転写産物を示す特徴的配列が全部で48,572個有意なレベルで発現していた。この特徴的配列をA. thalianaゲノム配列のアノテーションと比較したところ、5ライブラリー中、遺伝子17,353〜18,361個がアノテーション通りの方向で発現し、5,487〜8,729個がアノテーションと逆方向に発現していることがわかった。上記以外のMPSS配列6,691個がアノテーションされていないゲノム領域にマッピングされた。また、発現データが知られていなかった遺伝子の発現は1,168件が確認された。解析したライブラリーに含まれるA. thaliana遺伝子の25%以上には選択的ポリアデニル化が観察された。MPSS発現データは、A. thalianaのトランスクリプトームが複雑であり、標準的コード領域転写産物に未同定の変異型が数多くあることを示唆している。

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