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人工的に作製したリボレギュレーターは遺伝子発現の転写後制御を可能にする

Nature Biotechnology 22, 7 doi: 10.1038/nbt986

RNAは細胞内で酵素として重要な役割を担い、構造および調節の面でも重要であることが、最近の研究で示されている。本論文に示す大腸菌の転写後調節系では、遺伝子発現のサイレンシングにも活性化にもRNAが利用されている。我々は、相補的シス配列を標的遺伝子のリボソーム結合部位の上流に直接挿入した。転写にあたり、このシス抑制配列はmRNAの5′-非翻訳領域でステムループ構造の形成を引き起こす。このステムループ構造はリボソームの結合に干渉し、遺伝子発現のサイレンシングを誘発する。トランスに発現する低分子の非コードRNAは、シスに抑制されるRNAを高い特異性で標的とし、ステムループ構造を変化させて発現を活性化する。人工的に作製したこのようなリボレギュレーターは、RNAを利用する内因性プロセスの機構を推測するのに有用と考えられ、拡張性のある生物学的ネットワーク構成要素としてあらゆるプロモーターまたは遺伝子とともに機能させて遺伝子発現を直接制御することができるようになる可能性がある。

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