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炭疽致死因子阻害物質を同定するための質量分析法による化学スクリーニング

Nature Biotechnology 22, 6 doi: 10.1038/nbt973

質量分析(MS)法は、幅広い生物学的被検体に適用可能であり、被検体の標識が不要であるという大きな利点がある。しかしMS法には、被検体の調製にクロマトグラフィーの手順を要するという欠点があり、化学スクリーニングおよび迅速分析には用いられていない。本論文では、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型MS法による解析用に化学修飾した面を利用すれば、試料処理が不要となり、この技術が並行スクリーニング実験に適用可能となることを示す。化学修飾基質は基本的に自己集合単分子層であり、標的となるタンパク質および酵素と相互作用するリガンドを提示する。我々はこの方法を用い、炭疽致死因子のプロテアーゼ活性に関して化学物質ライブラリのスクリーニングを実施したところ、致死因子の活性をKi = 1.1 μMで阻害し293細胞でMEK1の切断を遮断する化合物を得た。

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