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Volume 23 Number 6

表紙について

慢性骨髄性白血病(CML)患者のがん幹細胞の進化が、全トランスクリプトームの塩基配列解読とBCR-ABL融合遺伝子の検出を1つの細胞で同時に行える新しい手法を使って追跡された。この方法を使ったことで、長期にわたって治療を受けている患者に存在し続けているごく少数の腫瘍細胞の性質が詳細に調べられたのに加えて、非悪性の造血細胞にも病気に関連した変化が起こることが明らかにされた。表紙はCML患者由来の血液塗抹標本で、1個のCML細胞を偽着色して示してある。
写真提供:Tiago C Luis, Nikolaos Sousos, Connor Sweeney and Alice Giustacchini
表紙制作:Erin Dewalt

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注目のハイライト

その他のハイライト

News

NEWS FEATURE:メタゲノミクスと感染症診断:微生物学の世界では10年ほど前から用いられようになり、微生物を単離・培養するという研究者にとっての難題を省いてくれたメタゲノミクスの手法を、感染症の診断にも使おうという試みが始まっている。そのきっかけとなったのはデータベースの急速な充実と解析手法の目覚ましい進歩である。この手法を使えばサンプル中のほぼ全てのDNAの塩基配列が明らかになるので、病気の原因である菌を取りこぼす心配がなくなり、治療が難航することが多い複数種の菌による感染症の原因解明も容易になりそうだ。

Source code: Putting metagenomics to the test in the clinic p.645

doi: 10.1038/nm0617-645

NEWS FEATURE:昔からの標的に新しいトリックを仕掛ける:Gタンパク質共役受容体(GPCR)は薬剤標的として広く使われているが、この受容体にもっと手の込んだ働きかけをして、必要な作用だけを抑制するような薬を作り出そうという研究が増加中である。こうした「バイアスをかけたアゴニズム」によれば、GPCRのような広く存在する受容体を標的とする場合にありがちな副作用も避けられると考えられるからだ。いくつかの鎮痛薬はすでに臨床試験段階に入っているが、結果は全勝というわけではない。

Biased for benefit: Stimulating the world's most popular drug targets with more nuance p.649

doi: 10.1038/nm0617-649

NEWS FEATURE:転移するがんをウイルスで追いかける:「殺がんウイルス」を設計して、それに転移性腫瘍を追跡させるという手法の開発が進んでいる。これは腫瘍細胞のほとんどで病原体に対する防御が弱化していることから考えられた方法である。ヒトには病気を引き起こさないウイルスを見つけ出し、それを目的とする腫瘍に効率よく送達するという難問に製薬各社が挑みつつあり、すでにかなりの進展が見られている上、免疫療法との組み合わせなどの改良も進んでいる。

Viral vanguard: Designing cancer-killing viruses to chase metastatic tumors p.652

doi: 10.1038/nm0617-652

News & Views

喘息の悪化に好中球が果たす役割

A role for neutrophils in asthma exacerbations p.658

doi: 10.1038/nm.4351

巡回性単球は末梢の感染を感知して、サイトカインが介在するニューロン機能障害を引き起こす

Patrolling monocytes sense peripheral infection and induce cytokine-mediated neuronal dysfunction p.659

doi: 10.1038/nm.4349

大麻のパラドックス:どんな効果が得られるかは年齢次第?

The cannabis paradox: when age matters p.661

doi: 10.1038/nm.4348

Perspective

がん:低分化型神経内分泌腫瘍の生物学的特性と進化

Biology and evolution of poorly differentiated neuroendocrine tumors p.664

doi: 10.1038/nm.4341

Brief Communications

脆弱X症候群:メトホルミンは脆弱X症候群マウスモデルの主要な異常を軽減する

Metformin ameliorates core deficits in a mouse model of fragile X syndrome p.674

doi: 10.1038/nm.4335

アルツハイマー病:アルツハイマー病患者の海馬で卵円孔電極によって見つかった無症状の発作と発火

Silent hippocampal seizures and spikes identified by foramen ovale electrodes in Alzheimer's disease p.678

doi: 10.1038/nm.4330

Letters

ワクチン:ジカウイルス弱毒化生ワクチン候補はマウスモデルで完全排除型の免疫を誘導する

A live-attenuated Zika virus vaccine candidate induces sterilizing immunity in mouse models p.763

doi: 10.1038/nm.4322

睡眠:睡眠不足による覚醒レベルの低下はマウスで痛覚感受性を上昇させる

Decreased alertness due to sleep loss increases pain sensitivity in mice p.768

doi: 10.1038/nm.4329

変形性関節症:老化細胞の局所での除去は外傷後変形性関節症の発症を減らし、再生促進環境を作り出す

Local clearance of senescent cells attenuates the development of post-traumatic osteoarthritis and creates a pro-regenerative environment p.775

doi: 10.1038/nm.4324

老化:長期的な低用量Δ9–テトラヒドロカンナビノール(THC)投与は老齢マウスの認知機能を回復させる

A chronic low dose of Δ9-tetrahydrocannabinol (THC) restores cognitive function in old mice p.782

doi: 10.1038/nm.4311

Articles

喘息:NETosisによって放出された宿主DNAは、ライノウイルスが誘導する2型免疫によるアレルギー性喘息増悪を促進する

Host DNA released by NETosis promotes rhinovirus-induced type-2 allergic asthma exacerbation p.681

doi: 10.1038/nm.4332

白血病:単一細胞トランスクリプトミクスによって明らかになった、慢性骨髄性白血病の幹細胞で見られる異なる分子シグネチャー

Single-cell transcriptomics uncovers distinct molecular signatures of stem cells in chronic myeloid leukemia p.692

doi: 10.1038/nm.4336

がん:10,000人の患者の前向き臨床研究で行われた塩基配列解読から明らかになった転移がんの変異の全体像

Mutational landscape of metastatic cancer revealed from prospective clinical sequencing of 10,000 patients p.703

doi: 10.1038/nm.4333

免疫:CX3CR1+単球は学習と学習依存的でTNF-αを介する樹状突起棘リモデリングを変化させる

CX3CR1+ monocytes modulate learning and learning-dependent dendritic spine remodeling via TNF-α p.714

doi: 10.1038/nm.4340

炎症:MAFBは虚血性脳卒中後の過剰な炎症をMSR1を介したダメージシグナルの排除促進によって防止する

MAFB prevents excess inflammation after ischemic stroke by accelerating clearance of damage signals through MSR1 p.723

doi: 10.1038/nm.4312

脊髄損傷:周皮細胞は慢性期脊髄損傷後の毛細血管の血流や運動機能を障害する

Pericytes impair capillary blood flow and motor function after chronic spinal cord injury p.733

doi: 10.1038/nm.4331

肝疾患:Tmbim1は多胞体調節因子であり、リソソームでのTlr4の分解を標的としてマウスやサルの非アルコール性脂肪性肝の発症を防止する。

p.742

doi: 10.1038/nm.4334

糖尿病:ピルビン酸キナーゼM2の活性化は糖尿病に伴う腎糸球体病変やミトコンドリア機能不全の進行を防止する可能性がある

Pyruvate kinase M2 activation may protect against the progression of diabetic glomerular pathology and mitochondrial dysfunction p.753

doi: 10.1038/nm.4328

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