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喘息:NETosisによって放出された宿主DNAは、ライノウイルスが誘導する2型免疫によるアレルギー性喘息増悪を促進する

Nature Medicine 23, 6 doi: 10.1038/nm.4332

呼吸器のウイルス感染は、アレルギー性喘息の増悪の最もよく見られる原因である。2型免疫応答の増幅は喘息の増悪に強く関与しているが、ウイルス感染が2型応答を増強する仕組みについてはほとんど明らかにされていない。我々は、ヒトではライノウイルス感染後の宿主二本鎖DNA(dsDNA)放出と2型免疫応答によるアレルギー性炎症の増悪との間に重要な相関が見られることについて報告する。アレルギー性気道過敏症のマウスモデルで、ライノウイルス感染が好中球細胞外トラップ(NET)の形成(NETosisとして知られる)に伴うdsDNA放出を引き起こすことが分かった。さらに、好中球エラスターゼの機能遮断やDNアーゼによるNETの分解によってNETosisを阻害すると、マウスでの2型免疫異常が防止されることも明らかになった。また、マウスのゲノムDNAの注入だけで、ライノウイルスによる2型免疫応答や喘息症状の多くの特徴を再現することができた。従って、NETosisとそれに関連する細胞外dsDNAはこの病態形成の一因となっており、ライノウイルスが誘導する喘息の増悪に対する治療標的となる可能性がある。

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