Nature ハイライト

実験物理学:熱的な音のホーキング放射

Nature 569, 7758

スティーブン・ホーキングは1974年、量子効果によって、ブラックホールが真っ黒ではなく、実際にはある種の放射を放出することを示した。これは現在、「ホーキング放射」として知られている。ブラックホールのエントロピーとホーキング放射は、同一温度になるはずであると考えられており、これは表面重力によって与えられる。そうした効果を天体物理学的に観測することはできないかもしれないが、類似した系でホーキング放射の物理を測定することはできるはずである。今回J Steinhauerたちは、極低温原子を使って、音に関してブラックホールに類似したものを作り出して、このブラックホール類似体の内外でのホーキング放射の相関を実験的に測定し、ホーキング理論が予想するように、ブラックホール類似体には熱スペクトルがあり、その温度が表面重力によって与えられることを示している。

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