Nature ハイライト

量子物理学:共振器QEDを再考する

Nature 569, 7758

量子電気力学(QED)は、原子集団や個々のエミッターなどの量子化された物質と量子化された電磁場との相互作用を記述する。共振器QEDでは、単一原子や原子集団が、2つの反射鏡によって形成される共振器などの共鳴構造体の内部に閉じ込められた電磁放射と相互作用する。この構成では、エミッターと共振器場のコヒーレント相互作用が散逸やデコヒーレンスを上回る条件が、いわゆる強結合領域によって特定されるため、最も実り多いシナリオが得られる。今回O Painterたちは、一次元導波路と結合した、超伝導量子ビット(キュービット)という形の人工原子を調べている。その結果、この共振器QEDの究極の単純化と見なし得るものにおいて、単一原子と、原子自体が反射鏡として働く共振器に捕捉された光子との間の強結合が観測された。さらに具体的に言うと、個々の人工原子は、この原子アレイを記述するエンタングルした集団状態と相互作用する。この集団状態は暗状態であるため電磁放射を捕捉するので、人工原子がなければ開放されている導波路において反射素子として働く人工原子によって共振器が形成される。調べた系で実現される制御能は、導波路QEDのさらなる進展の動機付けになると予想される。

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