Letter
実験物理学:熱的なホーキング放射の観測と類似ブラックホールにおける温度
Nature 569, 7758 doi: 10.1038/s41586-019-1241-0
ブラックホールのエントロピーとホーキング放射は、表面重力により同一オーダーの係数の範囲内で同じ温度を持つはずである。さらに、ホーキング放射は熱スペクトルを持つはずであり、これにより情報パラドックスが生じる。しかし、熱性(thermality)は少なくとも灰色体因子によって制限されるはずである。ホーキング放射の物理は類似系において検証できると提案されており、この考えは、慎重に研究され理論的に構築されてきた。古典的なホワイトホールの類似体は実験的に調べられており、他の類似系も示されている。理論的な研究とこの主題に関する我々の長期にわたる研究によって、自発的なホーキング放射の類似ブラックホールにおける観測が可能になった。観測された相関スペクトルは、最小と最大のエネルギーで熱性を示していたが、全体的なスペクトルは熱の形をとっておらず、相関スペクトルに温度があると見なすことはできなかった。我々の観測についての理論研究からは、熱性とホーキング温度についての複数の予測が得られている。今回我々は、磁場のノイズの低減、力学的および熱的な安定性の向上、光学系の再設計など、以前の構成と比べて改善された類似ブラックホールを構築した。その結果、ホーキング放射の相関スペクトルが熱スペクトルとよく一致し、その温度が表面重力によって与えられることが見いだされ、ホーキングの理論の予測が確認された。観測されたホーキング放射は、実際のブラックホールと同様に線形分散の領域にあり、ブラックホール内部の放射は、予測通り、負のエネルギーを持つ粒子モードのみからなっている。

