Nature ハイライト

物性物理学:ディラックフェルミオンの加速を画像化する

Nature 562, 7727

かつてない速さのエレクトロニクスを追求する場合、光駆動される電流によって光学的なクロックレートを実現できる可能性がある。同様に、トポロジカル絶縁体研究の進歩によって、ディラックフェルミオンのスピン–運動量ロッキングに起因するスピン流を探究できるようになり、エレクトロニクス向けの機会が生まれている。今回R Huberたちは、テラヘルツパルスの印加によって生じるBi2Te3の表面状態のディラックフェルミオン加速を観測して、速度とトポロジカル絶縁体を結び付けている。この加速されたディラック状態からバンド占有の再分布が起こり、著者たちはこれを、サブサイクル時間分解能の角度分解光電子放出分光法を使ってマッピングした。スピン–運動量ロッキングに起因して散乱が減る結果、数百ナノメートルという大きな平均自由行程と、半導体に比べて優れたコヒーレンス時間が得られる。こうした特性とスピン偏極電流によって、このプラットフォームは光波駆動されるマイクロエレクトロニクスデバイスを探究する上での候補になる。

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