Nature ハイライト

細胞生物学:小胞体へ向かうもう1つの経路

Nature 540, 7631

細胞のタンパク質は、細胞内のさまざまな膜に輸送される際に、まず小胞体に向かい、そこで成熟の各段階を経る。小胞体へ向かうこのような輸送(ターゲッティング)は、シグナル認識粒子(SRP)経路を経てタンパク質の翻訳と同時に行われるか、もしくは翻訳後にTRC40/GET経路を介して行われる。しかし、多くのタンパク質はこれらの経路のどちらにも依存しておらず、タンパク質の小胞体への輸送にはまた別の様式が存在すると考えられている。今回M Schuldinerたちは、酵母での系統的なスクリーニングを使い、3つのタンパク質が協働して広範囲にわたるさまざまな基質を小胞体を目標として輸送していること、またこの輸送はSRPおよびGETの両方の経路と並行して行われていることを突き止めた。SND(SRP-iNDependent targeting)と命名されたこの3つのタンパク質は、SRP経路およびGET経路の両方が無くなった場合にもその機能を補償でき、バックアップのターゲッティング系として機能することが分かった。これらのデータは小胞体へ向かうターゲッティング装置がロバストであることを強調するものといえる。

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