Nature ハイライト

細胞生物学:ミトコンドリアの機能不全を修正する新たな方法

Nature 540, 7631

ミトコンドリアは分裂や融合を絶えず行っており、それによってリモデリングや内容物の交換が起こる。このような過程に欠陥があると病気が引き起こされることがあり、例えば、ミトコンドリアの融合に関わるタンパク質であるmitofusin 2の変異は、まだ治療法のない神経変性疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病2A型(CMT2A)を引き起こす。G Dornたちは今回、mitofusin機能の構造基盤を調べ、このタンパク質が、融合が制約されたコンホメーションあるいは融合を許容するコンホメーションのどちらかを採ることを見いだした。そして、この知見に基づいて、融合を制約されたコンホメーションにあるmitofusinを不安定化して、融合が可能なコンホメーションを採るのを促進する細胞透過性ミニペプチドが設計された。注目すべきことに、CMT2Aに関連した遺伝的異常を持つ培養繊維芽細胞や培養神経細胞へこのペプチドを導入すると、関連するミトコンドリア異常が解消されたのである。

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