Nature ハイライト

医学:次はどこへ?

Nature 432, 7013

今週号のOutlook特集では、生殖生物学の分野で最も差し迫った問題をいくつか取りあげる。ここ数年の進歩によって、遠からず女性の生殖年齢が延び、閉経後に子供を産むことさえできるようになるかもしれないという可能性が見えてきた。News FeatureではK Powellが、このような新技術が安全かどうか、そして社会にこのような人口統計学的変化を受け容れる準備が整っているかどうかを検証している。また、D Butlerは先進国で出生率が急落している原因を探り、この深刻な事態について、ほとんどデータが集められていないと強調している。 もう1つの長年にわたる生殖医学の課題にはR J Aitkenたちが取り組んでいる。彼らは、農薬、産業汚染物質、医薬品などの化学物質が男性の生殖能力に及ぼす悪影響を調べている。「どのような種類の分子構造がこのような障害をもたらすのか、生じる障害の性質はどんなものか、そしてそのような障害が胚の発生にどのような影響を与えるのかといった問題は、どれも早急な対応が必要である」とAitkenたちは述べている。 W Reikたちは、遺伝子インプリンティングについて報告している。これは、胎児の成長の際に栄養素の供給を制御する方法として、細胞が一部の遺伝子について母親または父親由来のコピーの両方ではなく、どちらか一方だけを発現させる現象である。またJ StraussとM Kafrissenは、既存の避妊薬・避妊具にまだまだ欠点が多数あることを踏まえて、新しい避妊薬の開発を妨げる要因を突き止めようとしている。

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