Nature ハイライト

進化:化石魚類から内鼻孔の起源をかぎつける

Nature 432, 7013

どうやって我々の鼻腔は現在のような配置になったのか。その謎を3億9,500万年前の口蓋が閉じていない化石魚類が解き明かしてくれるかもしれない。この魚類は中国雲南省で見つかった原始的なKenichthys campbelliで、鼻の穴が顔面の外側から喉に開口する(現在の陸生脊椎動物はすべてこうなっている)ように移動していく進化の途中段階が見られる。 この化石魚類に実際に備わっていた鼻孔は、上顎の歯列の真ん中に開口していて、まるで口蓋裂があるかのようだとM ZhuとP E Ahlbergは報告している。大部分の現生魚類には口先近くに4つの鼻孔があるが、空気呼吸をする動物の外鼻孔は2つで、これらは内鼻孔とよばれる口腔への開口部につながっている。今回、Kenichthysによって、内鼻孔が1対の鼻孔として生じ、口の中を徐々に喉側に移動したとする説が裏づけられたことになる。これまで専門家の中にはこの説に異論を唱える向きもあったが、それは、内鼻孔が歯列を通過するという決定的な中間段階の化石がこれまで見つかっていなかったためだ。「この論争はおよそ100年間も続いてきたが、今回の新しいデータによって事実上、決着がついた」とP JanvierはNews and Viewsで解説している。

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