Nature ハイライト

発生生物学:Mycによる細胞競合

Nature 524, 7566

細胞は互いに競合することが知られており、増殖の速い「勝者」細胞は、より増殖の遅い「敗者」細胞を除去できる。この過程は、がん関連タンパク質Mycにより引き起こされることがある。生体内での勝者と敗者の間の相互作用を調べるために、E Morenoたちはショウジョウバエ(Drosophila)の正常組織で、mycによる競合のライブ画像化を行った。彼らは、mycをより強く発現する細胞が、近隣細胞に能動的に混ざり合うことで、競合相手を除去する可能性を増加させることを見いだした。具体的には、勝者–勝者、勝者–敗者、敗者–敗者といった種々の細胞の組み合わせによる接触面の張力の違いから、細胞間のインターカレーションが引き起こされる。分子レベルでは、膜脂質PIP3のレベルの違いによる細胞間結合でのアクチンレベルのばらつきが、張力の違いを生み出す。その結果として、組織の破壊と浸潤が起こる。細胞間インターカレーションは、発生ではよく確立された現象だが、今回の結果は疾患という状況でもこれが起こっている可能性を示唆している。

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