Nature ハイライト

化学:複数の触媒で炭素–炭素結合を形成する

Nature 524, 7566

遷移金属触媒を用いて新しい炭素–炭素結合を形成する方法で、医薬品をはじめとするさまざまな小分子が合成されている。1種類の金属で選択的変換や高効率変換を促進できない場合には、2種類の触媒の相乗的協同作用、すなわち多金属触媒作用を利用することができる。しかし、この手法の用途は、主として反応性の異なる金属を使用する場合に限られていた。今回、ニッケル触媒とパラジウム触媒の協同性を用いることで、臭化アリールとアリールトリフラートを、アリール金属試薬を用いることなく直接カップリングできることが示された。どちらか片方の触媒だけでは、形成されるクロスカップリング生成物は5%未満だが、両方の触媒を用いることで収率が最高で94%に達する。こうした結果から、ビアリール、ヘテロアリール、ジエンの新しい一般的な合成法が明らかとなり、今のところ事前調製された有機金属試薬を用いて合成されている多くの医薬品の合成が単純化されるはずである。

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