Nature ハイライト

がん:機械圧によって促進される腫瘍増殖

Nature 523, 7558

発がん性シグナル伝達経路は多数見つかっているものの、機械刺激が腫瘍発生に関わる仕組みについてはほとんど分かっていない。今回E Fargeたちは、マウスモデルで機械圧とβカテニン経路の活性化の間に関連があることを実証した。βカテニン経路は大腸がんのドライバーであることが知られている。著者たちは巧妙な方法を用い、マウス大腸組織内に送達できる超磁気リポソームを作製した。この超磁気リポソームは、マウス大腸組織内でこの超磁気リポソームを制御しながら刺激してやると、腫瘍の発生早期に見られる機械圧に似た圧が生じる。この操作のみで、腫瘍周囲の非腫瘍上皮組織で発がん性βカテニン経路が活性化されることが分かった。この状況は、腫瘍に隣接する健康な組織で有糸分裂増殖圧によって引き起こされる機械ストレスを模倣していると考えられる。

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