Nature ハイライト

医学:PTEXはマラリアタンパク質の輸送に必須である

Nature 511, 7511

熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は、宿主の赤血球に感染するとこれを改造する。この過程では何百ものタンパク質を宿主赤血球の細胞質へと運び出す必要がある。原虫は、最初は寄生胞と呼ばれる細胞内区画にあるため、これは位置的に見るとかなり難しい作業である。PTEX(Plasmodium translocon of exported proteins)と呼ばれるタンパク質複合体がこの過程に関わっていると考えられてきたが、その働きについての証拠は、状況による間接的なものだけである。今回2つのグループが対照的な手法を用いて、マラリア原虫タンパク質が感染細胞の細胞質へと運び出されるのにPTEXが必須であることと、このような搬出が原虫の生活環に不可欠であることを実証した。B Elsworthたちは、PTEXの成分であるHSP101とPTEX150の条件変異体を作成し、PTEX機能に異常があると、主要な毒性因子PfEMP1などのタンパク質の搬出が大幅に減少することを明らかにした。J Beckたちは、ジヒドロ葉酸レダクターゼを使い、不安定化ドメインを導入する新しい手法(DHFR-based destabilization domain;DDD)によってHSP101を不活性化し、このタンパク質が原虫から運び出される全てのマラリアタンパク質の分泌に必要なことを示した。

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