Nature ハイライト

構造生物学:tRNAが選択を誤らないように指令するのは変則的な塩基対

Nature 510, 7506

遺伝暗号がタンパク質へと常に正しく翻訳されるようにするには、tRNA合成酵素が適切なアミノ酸を、それに対応する適切なtRNAに連結しなくてはならない。アラニン用のtRNAでは、たった1つの非ワトソン・クリック型塩基対(G3•U70)が、アラニルtRNA合成酵素(AlaRS)に正しいアミノアシル化を確実に行わせる働きをする。横山茂之(理化学研究所ほか)たちは今回、古細菌Archaeoglobus fulgidus由来のAlaRSについて、G3•U70を持つtRNAAla(tRNAAla/GU)、またはA3•U70を持つ変異体(tRNAAla/AU)と、アラニルAMP類似体とが結合した2つの複合体の結晶構造を報告している。2つの構造の比較により、選択性の基盤が明らかになった。G3•U70の独特な形状がtRNAのCCA領域の向きを決め、末端のアデノシンを触媒部位へと誘導する。この機構によって、触媒部位から離れたところにある少数のヌクレオチドが、特定のアミノアシル化の反応性を決定できる仕組みが説明される。

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