Nature ハイライト

進化:他とはちょっと違う有櫛動物

Nature 510, 7503

有櫛動物(クシクラゲ類)は謎の多い動物であり、2種類の神経系と、脳に似た単純な神経中枢とを備えていて、捕食性の生活様式に適合した中胚葉由来の筋肉を持っている。今回L Morozたちは、有櫛動物のテマリクラゲ類の一種であるPleurobrachia bacheiの概要ゲノムと、他の10種の有櫛動物のトランスクリプトームを報告している。有櫛動物のゲノムは、神経や免疫、発生に関わる遺伝子の含量が他の動物のゲノムと著しく異なっており、HOX遺伝子や標準的なマイクロRNA装置が存在せず、免疫の補体遺伝子が少ない。また、左右相称動物のニューロン特異的遺伝子と「古典的」な神経伝達物質経路の遺伝子の多くも、存在しないか、存在してもニューロンでは発現していない。著者たちは、有櫛動物の神経系と、おそらく筋肉の特異化とが、他の動物のものとは独立に進化したのだろうと考えている。

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