Nature ハイライト

構造生物学:好アルカリ性細菌Bacillus halodurans由来YidCの構造

Nature 509, 7501

細菌のタンパク質YidCは、ミトコンドリアのOxa1や葉緑体のAlb3のホモログだが、Sec装置と協働し、その基質である膜タンパク質の正しい折りたたみや膜トポロジー形成を助けるという、ただのシャペロンではない。YidCは、Secとは無関係に、いくつかの一回または二回膜貫通型タンパク質の膜への組み込みも行っている。濡木理(東京大学)たちは、長く待たれていたYidCの構造を明らかにした。この構造から、この膜タンパク質の2つ目の役割についての知見が得られた。YidCはポリペプチドを通過させるチャネル様構造をとっていないことが構造から示唆され、タンパク質中の新規の折りたたみによって、正に荷電した親水性の溝が形成されていることが分かった。著者たちは、構造ベースの機能解析から、溝の中の保存されたArg残基と基質タンパク質のN末端領域にある酸性残基の間の静電的相互作用が、YidCによる基質の膜への組み込みに必須であることを示している。

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