Nature ハイライト

遺伝学:ダウン症候群の遺伝学的全体像

Nature 508, 7496

ダウン症候群は遺伝子発現の乱れによって起こると考えられており、従って、その表現型の根底にある分子機構を理解するには、ダウン症候群に典型的な第21染色体の完全あるいは部分的なトリソミー(21トリソミーと呼ばれる)を持つ細胞や組織におけるトランスクリプトームの差異を解明する必要がある。今回、21トリソミーに関して不一致である一卵性双生児の胎児細胞のトランスクリプトームが解析され、この双生児間で差異のある遺伝子発現は、全染色体にわたってドメインの形で存在していることが明らかになった。これらの遺伝子発現調節異常ドメインは、ダウン症候群のマウスモデルで保存されており、ラミナ関連ドメイン(LAD)や複製ドメインと相関している。ゲノム全体のトポロジーはトリソミー細胞でも変化していないが、著者たちは、トランスクリプトーム全体に影響を及ぼすようなクロマチン環境の変化を報告し、今回明らかになった調節異常ドメインがダウン症候群のいくつかの表現型に関与している可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度