Nature ハイライト

工学:流砂の謎

Nature 487, 7406

水にコーンスターチを懸濁した液をたたくアルミニウム棒。左が直前、右が直後。
水にコーンスターチを懸濁した液をたたくアルミニウム棒。左が直前、右が直後。 | 拡大する

Credit : Scott Waitukaitis, 2011.

流砂は、十分速く歩いていれば、その上を歩くことができるが、動かなかったり、不注意だったりするとたちまち砂に捕まって、その中に沈んでしまうと言われている。今回、こうした離れ技に必要な力がどういうものかが、明らかにされた。液体は、通常は侵入物体の周りを流れるが、マイクロメートルサイズの粒子の高密度な水性懸濁液は、衝撃によって硬くなることがある。ずり粘稠化は、せん断された懸濁液が示す膨張傾向で、そのような液体の一時的な硬化を説明するのには、ずり粘稠化が持ち出されることが多い。しかし、そのような影響の規模をうまく説明するのは難しい。今回S WaitukaitisとH Jaegerは、これとは異なるメカニズムによって顕著な衝撃抵抗が生じることを実証している。コーンスターチを水に懸濁した高密度の液をアルミニウム棒でたたく過程をモデルとして、この過程の動力学を詳細に画像化することにより、衝撃で生じた固化の最前面から応力が発生することが見いだされた。この固化の最前面によって、当初は圧縮性だった粒子マトリックスが、急拡大するジャミング領域(ある密度以上に詰まって固まった状態)に変化するのである。

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