Nature ハイライト

脳:無快感症の必要条件はメラノコルチン4型受容体(MC4R)を介した側坐核内のシナプス適応である

Nature 487, 7406

慢性的ストレスは、ヒトのうつ病の強力な素因であり、動物でもうつ病モデルの作製に用いられる。ストレスは一般に、摂食行動の調節異常、無快感症、行動的絶望など、うつ病の主要症状のいくつかを引き起こす。うつ病の神経病理生理学的基盤についての仮説は複数提案されているが、ストレス誘発性うつ様症状を作り出す中心となる脳回路内の重要なシナプス適応については、ほとんどわかっていない。今回マウスで、慢性ストレスが、メラノコルチン4型受容体の活性化を介して、D1ドーパミン受容体を発現する側坐核中型有棘細胞上の興奮性シナプスを減弱させることがわかった。無快感症の行動指標のストレスによる上昇は、メラノコルチン4型受容体を介したシナプス変化をin vivoで阻害することで防止できるが、行動的絶望の指標上昇は防ぐことはできない。これらの結果から、ストレス誘発性無快感症の発症には、側坐核での神経ペプチドが引き金となる細胞型特異的なシナプス適応が必要であり、ストレス誘発性うつ病のほかの主要な症状は異なる回路適応を介していることがわかる。

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