Nature ハイライト

生理:鳥が進路を決める仕組みを再考すべきとき

Nature 484, 7394

優れた帰巣能力を持ち、かつて通信手段として利用された伝書バト。
優れた帰巣能力を持ち、かつて通信手段として利用された伝書バト。 | 拡大する

Credit : Keays, et al.

渡り鳥はどのようにして磁場を感知するのだろうか。これまでの研究では、上嘴にマグネタイト(磁鉄鉱)を含むニューロン樹状突起からなる磁気感知系があり、鳥が磁場を使って航路決定する能力はこれによっていると考えられてきた。しかし今回、広く受け入れられてきたこのモデルに疑問が投げかけられた。D Keaysたちが、カワラバト(Columbia livia)の嘴にある鉄を豊富に含む細胞について、解剖学的特徴を総合的に解析し、これらの細胞が実際はマクロファージであって磁気感受性ニューロンではないことを明らかにしたのである。鉄を多く含むマクロファージは鳥の嘴に特有なものではない。したがって、鳥類の磁気感知の神経基盤は依然としてはっきりしないままである。磁気感知部位の候補の1つとして考えられるのは嗅上皮で、この感覚構造はニジマスで磁気感知にかかわっている。

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