Nature ハイライト

医学:筋ジストロフィーにおけるHsp72

Nature 484, 7394

デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者では、細胞膜を安定化するタンパク質であるジストロフィンが欠如しており、そのために筋細胞膜の高度な脆弱化、細胞質カルシウムイオンの取り扱いの異常、筋肉変性が引き起こされる。Gehrigたちは、筋肉内で熱ショックタンパク質72(Hsp72)の発現を増やしてやると筋ジストロフィーの病態生理が軽減されるという考えを、2種類の筋ジストロフィーマウスモデルで検討した。Hsp72の誘導因子であるGBP-15(糖尿病薬として臨床試験が行われている)を投与すると、mdxジストロフィーマウスで全身の筋肉の強度と機能が改善された。2つのマウスモデルの両方で低下していた筋小胞体/小胞体Ca2+輸送性ATPアーゼ活性は、BGP-15により回復した。今回の研究は、BGP-15などのHsp72を標的とする治療が筋ジストロフィー患者で有効となる可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度