福山型筋ジストロフィーは、可動性遺伝因子であるSVAレトロトランスポゾンがfukutin遺伝子の非コード領域に挿入されることによって発症する。神戸大学の戸田達史たちは、この挿入によって、病的エキソントラッピングとして知られている異常なスプライシング現象が起こり、その結果としてfukutinの転写産物が切断されることを明らかにしている。異常なスプライシングを妨害するアンチセンス・オリゴヌクレオチドを、筋ジストロフィーのマウスモデルの細胞またはヒトの筋ジストロフィー患者の細胞に投与すると、フクチンの機能が回復する。この結果は、SVAによるエキソントラッピングが生じる他の疾患にもかかわってくる。
2011年10月6日号の Nature ハイライト
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