Nature ハイライト

生態:雑草防除の変動を解析する

Nature 470, 7332

オーストラリアのカカドゥ国立公園の川筋では、マット状に増えて広がるオオサンショウモという侵入植物に対して、生物学的防除剤としてゾウムシの一種が1980年代に導入された。だが、年によっては防除が不完全なことがある。これは、「二者択一的安定状態」という、よく知られてはいるが十分には解明されていない生態学的現象によるものとされているが、この現象が発生すると生態系の管理に深刻な問題が生じる。しかし、研究例のほとんどはきわめて安定的な状態に関するもので、状態の移行は大きな外乱を受けた後にきわめてまれにしか起こっていない。しかし、オオサンショウモとゾウムシの例では、水位の頻繁な変化が、防除の有効な状態と有効でない状態という2つの安定性の低い状態間の移行の原因となっている。この移行が生じる仕組みの解明が進めば、この系を防除状態で維持するための介入が可能になるだろう。

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