Nature ハイライト

大気:産業革命前のメタンのピークの「自然な」説明

Nature 470, 7332

温室効果ガスの排出によって、人類が地球の気候にどれくらい長く影響を与えてきたのかという問題は、気候システムの感度の解明の根本にかかわっている。したがって、極域の氷床コアに記録されている、約5,000 年前に起こった大気中メタン濃度の見かけ上異常な上昇は関心を集めている。このメタン濃度の上昇についての説明の1つは、ごく初期の農業活動自然湿地からの放出増加というものである。だが今回、最終氷期サイクル間の全地球のメタン濃度に関して新たに行われた一連の気候–湿地シミュレーションにより、メタン濃度の上昇が地球の軌道配置の自然な変化によって説明できること、そして地球の歳差運動によって生じる季節的降雨の変化に連動して南半球の熱帯におけるメタン放出が増加したことが示唆された。

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