Nature ハイライト

生化学:細菌の遺伝毒素の構造

Nature 429, 6990

多くの病原菌はヒトのDNAに作用する3分子からなる毒素を生産する。CdtA、B、Cと呼ばれる3つのタンパク質は協同して働いて細胞分裂を止め、アポトーシスまたはプログラム細胞死として知られる細胞自死プログラムを誘引する。今回、C E Stebbinsたちは、軟性下疳菌Haemophilus ducreyiが分泌する遺伝毒素三量体の構造を決定した。CdtAとCは植物レクチンに似ており、CdtBをヒト細胞内に不活性状態で運び入れる役目を果す。ヌクレアーゼCdtBはその後本性をあらわし、我々の無防備なDNAに攻撃をしかけるのである。 今回、構造学的研究によって詳細が明らかにされたことにより、この強力な毒素を不活性化する治療法の開発の糸口がつかめることだろう。特にこの毒素がチフス菌、ヘリコバクター、大腸菌、そして志賀赤痢菌といったさまざまな細菌で広く見られることを考えるとその意義は大きい。

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