Nature ハイライト

地球:深部溶融体の上昇

Nature 429, 6990

海洋地殻のスラブが大陸境界部で沈み込むとき、粛々とマントル深部へと急角度で沈み込んでいくのが普通である。しかし、何かとても奇妙なことがアルゼンチンの下で起きているらしい。 太平洋東部のナスカプレートは現在南アメリカの陸塊の下に沈み込んでおり、アンデス山脈の隆起はこの結果直接生じたものだ。ほとんどの場所では、ナスカプレートは普通に振る舞っているのだが、アルゼンチンの下の部分ではそうではなく、実のところ急には沈み込んでいないのである。その代わりに、約100キロメートルの深さで平らとなり、さらに東で下向きに沈み込むまで南アメリカの下で平らなプレートとして広がっている。 J R Bookerたちが集めた新しい電磁気学的データによれば、急角度で沈み込んでいるスラブの最上部の電気伝導度が高く、水あるいは溶融体が上向きに流れ込んでいるらしい。この原因は、「平らな」部分で使い果たされていなければ本来はもっと早い段階で放出されるはずだった水がスラブから開放されたか、あるいはより議論を呼ぶところだが、著者らが示唆しているように地球のより深部の境界から上昇してきた溶融体による可能性がある。

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