Nature ハイライト

物性:新たな局面に入る擬ギャップ

Nature 468, 7321

物質の電子スペクトルのエネルギー準位における不連続性である擬ギャップ現象は、高転移温度(Tc)銅酸化物に共通する特徴である。擬ギャップの性質は10年以上にわたって凝縮系物理学の中心的問題であったが、その特性の多くはいまだに解明されていない。最近の研究から、擬ギャップに関連する異常特性がはっきりみられるT*未満で、異常磁気秩序が共通して存在することが指摘された。これがもし確認されれば、擬ギャップ領域が単なるクロスオーバー現象ではなくて、真の新しい物質相であるという深い意味をもつ可能性がある。今回、超伝導体HgBa2CuO4+δ(Hg1201)についての非弾性中性子散乱実験の結果から、異常秩序に伴う基本的な集団磁気モードの存在が明らかになり、こうした考え方のさらなる裏付けが得られた。

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