Nature ハイライト

神経:脳卒中回復を促進するための標的

Nature 468, 7321

脳卒中は能力障害の主要な原因だが、それは脳の回復力が限られているからである。実際に起こる機能回復の一部は、梗塞部位の辺縁にある組織への脳機能の移譲によっている。今回、マウスモデルでの研究により、脳卒中がGABAの輸送を障害し、これが抑制性神経伝達物資の蓄積につながって、梗塞部位付近の神経興奮が低下することが示された。シナプス外GABAA受容体を遺伝学的あるいは薬理学的に遮断すると、行動機能の回復が促進される。重要なのは、脳卒中発作から治療開始までに時間がかかった場合でも、この方法が有効であるという点である。この研究は、脳卒中後の神経回復のための新たな薬物治療標的を突き止めたもので、これは脳卒中以外の脳損傷についてもおそらく適用可能と考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度