Nature ハイライト

Cover Story:直接的な作用:特異的に働くNotch受容体アンタゴニストの抗がん剤としての可能性

Nature 464, 7291

Notchファミリーの4つの受容体は広く発現している膜貫通タンパク質であり、哺乳類細胞はこれらを介して相互に情報交換を行い、細胞の運命と増殖を調節している。Notchシグナル伝達の欠陥は、急性リンパ芽球性白血病などの多くのがんと関連している。今回、ジェネンテック社の複数部門の研究者からなる研究チームがファージディスプレイ法を用いて、Notch1とNotch2の強力かつ特異的なアンタゴニストとして作用する合成抗体を作出した。抗Notch1は、前臨床マウスモデルで、がん細胞の増殖と血管新生の両方を阻害する抗がん活性を示し、また培養されたヒト、あるいはがん細胞に対しても活性がみられる。Notch1と2を同時に阻害すると腸に毒性があるが、どちらか一方だけの阻害ではこの副作用はおおむね回避され、「全Notch」阻害剤に勝る治療上の利点が見込まれる。表紙は、Salamander Design StudiosのG Vionによるもので、リガンドを発現している細胞(右側)が、隣の細胞のNotchシグナル伝達を活性化しているようすを描いたもの。刺激の受け手となる細胞の膜にはNotch1と2(赤と青)が発現している。特異的アンタゴニストの作用によって、青色のシグナルの情報だけが細胞核に伝わる(Letter p.1052)。

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