Nature ハイライト

Cover Story:危機にある生物多様性 — DARWIN 200特集:『種の起源』から150年後の種の状況

Nature 462, 7271

ダーウィン生誕200周年を記念する3回の特集(第1回は2008年11月20日号、第2回は2009年2月12日号)の最終回にあたる今回のテーマは、生物多様性とその保全の企てについてである。ゴールデンライオンタマリンは、いまだに絶滅危惧種ではあるが、成功することがまれな保全という領域の成功例である。繁殖させた個体を自然へ帰す再導入と、生息地であるブラジル森林域の保存努力によって、この霊長類の個体数は一定に保たれている(News Feature p.266)。1997年にR Costanzaたちが本誌に掲載された総説で例示した、生物多様性についてもその価値を値で示す生態系サービスの手法は、保全の促進に重要だと多くの人が考えており、その主要な提案者の1人であるG Dailyは楽観的である(News Feature p.270)。Opinionの1つではP Sukhdevが、環境サービスへの行政の投資の問題を、より大きな構想の一部として生物多様性に適切なコストをもたせることで説明している(p.277, www.nature.com/podcast)。分類学では、ミトコンドリアのシトクロムcオキシダーゼ遺伝子の一部が「DNAバーコード」として使われている。D Mishmarたちは、このバーコードが種の類縁関係を調べるのに有用であるばかりか、多様性の促進要因にもなっていると論じて、さらなる議論をよんでいる(News Feature p.272)。コペンハーゲン会議の開催が迫っているが、W Turner、M Oppenheimer、D Wilcoveは、自然生態系や生物多様性がどのように気候変動を緩和できるかを説明している(Opinion p.278)。R Smithたちは、生物多様性の目標設定にはNGOやよその来訪者よりも、地元の関係機関が重要であることを強調している(Opinion p.280)。生物多様性についての最良のデータセットは、古生物学から得られるものだ。D Erwinは、物理学で使われている手法を応用することで、こうしたデータを使ってもっといろいろなことができるのではないかと考えている(Opinion p.282)。Editorial(p.251)やwww.nature.com/darwinもご覧いただきたい。

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