Nature ハイライト

医学:結核の毒性因子

Nature 460, 7251

結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の今まで知られていなかった毒性因子が見つかった。細菌由来のサイクリックAMPの宿主マクロファージ内への輸送である。結核菌が、感染したマクロファージ中のサイクリックAMP濃度を上昇させることは既に知られていたが、今回このサイクリックAMPが細菌のアデニル酸シクラーゼによって産生され、おそらく下流のシグナル伝達経路の活性化を介して毒性を強めることが明らかになった。サイクリックAMPは宿主のTNF-α(腫瘍壊死因子α)を刺激し、より重い肝臓疾患を引き起こし、感染マウスでの細菌の生存期間を延ばす。この研究は、結核菌によるシグナル伝達の干渉が抗結核薬の新たな標的となる可能性を明確にしている。

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