Nature ハイライト

細胞:脂肪滴とオートファジー

Nature 458, 7242

脂肪滴は、トリグリセリドやコレステロールなどの脂質を貯蔵する細胞小器官である。栄養欠乏状態では、脂肪滴内のトリグリセリドが加水分解されて遊離脂肪酸となり、酸化されてエネルギーを供給する。飢餓に対するもう1つの細胞応答は、細胞が自身の構成成分を分解して栄養分を供給するオートファジーである。Singhたちは、脂質代謝の調節にオートファジーがもつ新たな機能を明らかにし、それを「マクロリポファジー」と名付けている。この過程では、脂肪滴とオートファジーにかかわる成分が飢餓時に会合し、オートファジーを阻害すると、脂肪滴での脂質貯蔵が増加する。オートファジーは、脂肪滴の内容物をリソソームへ放出させて分解することにより、脂質の加水分解と遊離脂肪酸の生成を促進する。今回の研究は、脂質代謝の調節でオートファジーが極めて重要な役割を果たすことを明らかにしており、これは脂肪が蓄積される疾患を予防する新たな方法となるかもしれない。

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