Nature ハイライト

気候:古代の大気の新たな代理指標

Nature 453, 7194

地球大気の過去の組成に関する情報を、地質学的時間スケールで手に入れるのは難しい。そこで、古代の大気状態を示す新たな安定同位体代理指標の登場は、注目に値するといえる。この代理指標は古代の蒸発岩と重晶石から得られた硫酸塩の三酸素同位体組成で、過去7億5,000万年間にわたる負の17O同位体比異常の変動を示している。この異常は、大気中のO2に跡を残し、さらには、成層圏でのO3-CO2-O2光化学反応ネットワークを通してCO2分圧に反映される。代理指標データはモデリングの結果に一致しており、カンブリア期初期にはそれ以前の時代に比べて、大気のCO2分圧が高かったことを示している。マリノアン氷河期の氷河堆積物を覆う炭酸塩岩層(約6億3,500万年前)から得られた重晶石の17O同位体異常は、はっきりした負のスパイクを示していて、重晶石が炭酸塩岩シーケンス中に沈殿していった頃にはCO2分圧がまだ高かったことを示唆しており、重要である。これは、原生代後期の「スノーボールアース」仮説やマリノアン氷河期後のメタンの大量放出の裏付けとなるからだ。

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