Nature ハイライト

Cover Story:「カーボンメジャー」問題:二酸化炭素排出企業が200件超の熱波の発生を助長した

Nature 645, 8080

人為起源の温暖化が極端な気象事象の頻度と強度を高めることは明らかになっているが、過去の気象事象を包括的に解析した研究はこれまでなかった。今週号ではY Quilcailleたちが、2000〜2023年に発生した熱波を調べて、気候変動の影響と主要な炭素排出企業の寄与を評価している。彼らは、気候変動が原因で、熱波の発生確率が2000〜2009年には約20倍、2010〜2019年には約200倍増加したことを見いだした。著者たちはまた、化石燃料生産者やセメント生産者に代表される、二酸化炭素排出量が特に多い企業である「カーボンメジャー」180社からの排出が、1850〜1900年以降の熱波強度増加の約半分に寄与してきたことを示している。個々の企業で見てもその寄与は非常に大きく、各社ごとに、産業革命以前の気候では事実上発生し得なかった16~53件の熱波の発生を可能にするほどであった。

2025年9月11日号の Nature ハイライト

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