Nature ハイライト
Cover Story:「カーボンメジャー」問題:二酸化炭素排出企業が200件超の熱波の発生を助長した
Nature 645, 8080
人為起源の温暖化が極端な気象事象の頻度と強度を高めることは明らかになっているが、過去の気象事象を包括的に解析した研究はこれまでなかった。今週号ではY Quilcailleたちが、2000〜2023年に発生した熱波を調べて、気候変動の影響と主要な炭素排出企業の寄与を評価している。彼らは、気候変動が原因で、熱波の発生確率が2000〜2009年には約20倍、2010〜2019年には約200倍増加したことを見いだした。著者たちはまた、化石燃料生産者やセメント生産者に代表される、二酸化炭素排出量が特に多い企業である「カーボンメジャー」180社からの排出が、1850〜1900年以降の熱波強度増加の約半分に寄与してきたことを示している。個々の企業で見てもその寄与は非常に大きく、各社ごとに、産業革命以前の気候では事実上発生し得なかった16~53件の熱波の発生を可能にするほどであった。
2025年9月11日号の Nature ハイライト
惑星科学:酸化還元反応で作られた火星上の鉱物と有機物
量子シミュレーション:強相関フェルミオン系を探る中性原子量子コンピューター
量子シミュレーション:非平衡多体問題を扱う量子コンピューター
計算科学:組み合わせ最適化問題を高速化するアナログ光コンピューター
ナノスケールデバイス:イオントラップを3D印刷する
ナノスケールデバイス:縦型デュアル共振器アーキテクチャーによる電気駆動ペロブスカイトレーザー
医用生体工学:ソフトロボットのための磁化再プログラミング
環境社会科学:サハラ以南のアフリカにおける貧困とインフラ
健康科学:まずは歩きたくなる環境を
生態学:菌根菌の多様性の全球的な分布
生物地理学:深海の動物相は全球的につながっている
植物遺伝学:オオムギの野生近縁種のパンゲノム構築
神経科学:海馬の表現ドリフトの状況
生理学:CoQ10の合成中間体投与でミトコンドリア脳症が改善する
免疫学:呼吸器アレルギーを引き起こす共通誘因
がん:腫瘍壊死を引き起こす新たな好中球集団
腫瘍生物学:ウイルスの呼吸器感染は眠っていた肺転移腫瘍を揺り起こす
がん治療:腫瘍代謝の標的による腫瘍免疫の増強
構造生物学:カルシウム透過性AMPA受容体のゲート開閉機構が判明