Nature ハイライト

医学:鳥インフルエンザの対策は十分?

Nature 440, 7080

今週号では、鳥インフルエンザの監視と対策活動のための、軍隊式の研究所ネットワーク作りが提案されている。J-P Chretienたちは、インフルエンザの感染発見とその対策活動を改善するにはどうしたらよいかを検討し、既存の米軍方式を参考にした研究所ネットワークがあれば、サハラ以南のアフリカのような貧しく、感染拡大の危険度が極めて高い地域の備えを最も効率よく改善できるだろうという結論に達した。  米国には既に、第二次大戦中から大戦後、米軍部隊での感染症発生の危険を監視する目的で作られた小規模な研究所ネットワークが存在する。現在これらの研究所は、世界保健機関(WHO)とともにインフルエンザの発見と対策のために活動しているが、多くはこの半世紀の間に閉鎖され、残った数か所も近年、危機的状況にある。著者たちは、鳥インフルエンザの監視だけでなく今後発症しうる未知の病気の発生に備えるためにも、このような研究所をもっと作るべきだと訴えている。  最大の効果を上げるためには、これらの施設は、監視ネットワークを運営し、流行にすばやく対処し、研究を指揮し、受け入れ国の人材養成を行えるものでなくてはならないと著者たちは論じている。多数の国からの支援を得て、このような研究施設や疫学的な対応能力への長期的投資が行われれば、WHOによる鳥インフルエンザの発見と蔓延防止、また今後の危機への対処に役立つだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度