Nature ハイライト

代謝:インスリン受容体シグナル伝達についての概念を見直す

Nature 590, 7845

インスリンとインスリン様増殖因子1(IGF1)を介するシグナル伝達は、成長と増殖、代謝を調節しているが、これらの経路の異常調節は糖尿病やがんを引き起こす。H Lickertたちは今回、マウスβ細胞でインスリンおよびIGF1受容体(IGF1R)が関わるシグナル伝達経路の負の調節因子を明らかにし、「inceptor(insulin inhibitory receptor;Iirによりコードされる)」と命名した。inceptorは、インスリン受容体(INSR)やIGF1Rと相互作用してクラスリンを介したエンドサイトーシスを可能にし、これが受容体脱感作につながる。従って、マウスでinceptorを遺伝学的に除去したり抗体によって阻害したりすると、インスリン受容体の持続的な活性化が引き起こされるので、inceptorはインスリン感作や糖尿病治療のための主要な臨床分子標的となり得ることが分かった。

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