Nature ハイライト

分子生物学:霊長類の介在ニューロンレパートリーに見られる新機軸

Nature 586, 7828

今回、霊長類の行動や認知能力が他の動物種と比べて大きく異なることを説明し得る、脳各領域での細胞レベルの違いが調べられている。S McCarrollたちは、単一核RNA塩基配列解読を用いて、ヒト、アカゲザル、コモンマーモセット、マウス、フェレットに由来する計20万個近くの介在ニューロンについて、RNA発現プロファイリングを行った。その結果、相同な介在ニューロンのタイプは、フェレットとマウスと霊長類の間でその数やRNA発現に差異が見られたが、霊長類3種の間ではそうした差異はごくわずかだった。また、コモンマーモセットとヒトの線条体に見られる新規な介在ニューロンなど、霊長類に特異的な特徴も複数見いだされた。霊長類と齧歯類が進化の過程で分岐する中で、遺伝子と細胞タイプの特性がどのように変化し、あるいは保存されてきたのたかを理解することは、モデル動物系の設計や実験結果の解釈についての指針を示し、特にヒトの脳疾患の研究に役立つと考えられる。

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