Nature ハイライト

細胞生物学:心臓の肥大と過形成を制御するスイッチ

Nature 582, 7811

哺乳類の成体の心臓は損傷後に自己修復できないが、出生直後の短期間は、損傷後も心筋細胞の増殖による心臓の再生が可能である。Meis1は、出生後に心筋細胞の増殖のスイッチを切る働きに関わる転写因子である。H Sadekたちは今回、心筋細胞の肥大と過形成を切り替える分子スイッチを特定した。Meis1はHoxb13と相互作用して協調的に働き、心筋細胞の成熟と増殖を調節することが分かった。また、Hoxb13はカルシニューリン(肥大のメディエーター)によって脱リン酸化され、その結果、核で蓄積して細胞周期の停止を引き起こすことが明らかになった。成体の心臓でMeis1とHoxb13の両方を欠失させると、心筋細胞の細胞周期が再開し、心筋梗塞後の心機能が改善した。

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