Nature ハイライト

物性物理学:トポロジカル反強磁性体の電気的スイッチング

Nature 580, 7805

物質の電子構造がさまざまなトポロジカルクラスに属し得ることが最近発見されたが、こうしたクラスは、物質の内部が絶縁性であっても導電性の表面状態が存在することなど、従来にない乱れに強い特性を特徴とすることが多い。そうしたトポロジカル物質は、実験によって発見されて以来、多数見いだされている。しかし、技術的な応用への重要な次の一歩を踏み出すには、新たなトポロジカル状態を電気的に操作する必要がある。今回、中辻知(東京大学)たちは、ワイル金属Mn3Snの多結晶薄膜において、室温でのトポロジカル反強磁性状態の電気的スイッチングを実証している。このスイッチングは、従来の強磁性金属で使われているのと同じ磁化反転手法を使って実現されており、スピントロニクスへの応用にトポロジカル磁性体を利用できる可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度