Nature ハイライト

がん:変異型KRAS特異的阻害剤への抵抗性を解明する

Nature 577, 7790

変異型KRAS特異的な阻害剤は、この発がん性タンパク質が不活性型のコンホメーションをとっている時に結合して阻害する。P Litoたちは今回、臨床試験中のKRAS阻害剤を投与した肺がんマウスモデルを使って単一細胞解析を行い、阻害回避機構と不均一な応答を明らかにしている。休止状態の細胞は不活性型KRASへの阻害剤の結合によって除去できるが、一部の細胞は、新たにKRASを合成し、上流のシグナルによって活性型で薬剤抵抗性のコンホメーションに移行することで迅速に適応してしまうことが分かった。この知見は、細胞状態とシグナル伝達経路に見られる不均一性が、がんでの標的化療法の全体的な転帰を決定し得る仕組みを明らかにしている。

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