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がん:コンホメーション特異的なKRAS(G12C)阻害に対する迅速で不均一な適応

Nature 577, 7790 doi: 10.1038/s41586-019-1884-x

KRAS GTPアーゼはがんの3分の1で活性化されており、KRAS(G12C)は肺腺がんで最も多く見られる活性化変異の1つである。KRAS(G12C)の複数の阻害剤について第1相臨床試験が施行中であり、初期のデータでは、肺がん患者のおよそ半数で部分奏功が見られている。がん細胞が阻害を回避して、治療応答の最大化を防止する仕組みは分かっていない。KRAS(G12C)は活性型コンホメーションと不活性型のコンホメーションを交互にとっていて、阻害剤は不活性型にのみ結合するため、我々は阻害剤投与の影響を単一細胞の分解能で調べることにより、同系の細胞集団が不均一な様式で応答するかどうかを検証した。本論文では、阻害剤投与の直後、がん細胞の一部はKRAS活性の低い休止状態にとどめられるが、阻害剤の影響を回避して増殖を再開する細胞もあることを示す。迅速で多様なこの応答は、MAPキナーゼの出力が抑制されたのに応じて、休止細胞の一部が新たにKRAS(G12C)を産生するために起こる。新しいKRAS(G12C)は、上皮増殖因子受容体とオーロラキナーゼのシグナル伝達によって活性型で薬剤感受性を示さない状態が維持される。このような適応変化が起こらない細胞、つまりこのような変化が薬理学的に阻害されている細胞は、薬剤投与に対する感受性を維持していて、それは新たなKRAS(G12C)が利用できない状態にあるか、もしくは不活性な薬剤感受性状態で存在するからである。KRASがんタンパク質を直接標的とすることは、精密腫瘍学(precision oncology)でのずっと以前からの目標である。我々の研究は、ある集団内の一部の細胞グループが治療の影響を迅速に回避できるようにする、順応性のある不均一な適応機構を明らかにしている。臨床で完全かつ持続的な応答を達成するには、この適応過程を抑えなくてはならない。

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