Nature ハイライト

微生物学:宿主の中にバリケードを築いてファージDNAを囲い込む

Nature 577, 7789

ファージは増殖のために宿主細菌が必要であり、宿主内では抗ファージ系の標的となるのを防止するために防御手段を使っていることが多い。以前の研究で、細菌細胞内に核に類似した特殊な構造があって、ファージの複製はここに区画化されていることが報告されている。J Bondy-Denomyたちは今回、この構造が、制限酵素やCRISPR–Casタンパク質などのDNAを標的とするヌクレアーゼからファージDNAを守るのにも使われていることを明らかにした。ジャンボファージΦKZが緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に感染すると、タンパク質性の核類似区画が形成され、これが制限エンドヌクレアーゼやCas酵素による分解からファージゲノムを保護する機能を果たすことが分かった。このファージ区画は今のところ、シュードモナス属(Pseudomonas)の細菌種に感染するジャンボファージの間でだけ報告されているが、これは宿主の防御機構を回避するためのもっと広範囲に使われている戦略なのではないかと、著者たちは考えている。

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