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集団生物学:自律的に維持される捕食者–被食者サイクル

Nature 577, 7789

捕食者である輪形動物とその被食者である緑藻類。
捕食者である輪形動物とその被食者である緑藻類。 | 拡大する

Credit: Roland Birke / The Image Bank / Getty Images Plus

捕食者–被食者サイクルは生態学において最も基本的な概念の1つだが、特徴的な位相関係を持つ循環的な動態が数周期の振動を超えて持続し得ることを示す実験的証拠はこれまで得られていない。今回B Blasiusたちは、水生群集(浮遊性の輪形動物とその被食者である単細胞性の緑藻類からなる)における実験で、こうした限界を大きく上回る約50サイクル(捕食者の約300世代に相当し、被食者についても少なくとも同等の世代数に相当する)にわたって続く振動を観察したことを報告している。律動的な栄養供給という外的強制は、強制を加えない実験で観察されたのと同じ位相関係を持つ持続性の循環的動態につながった。今回の知見は、確率論的な事象に際して復元力を示す循環的な動的領域において捕食者集団と被食者集団とが永続的に共存し得る可能性を示している。

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