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進化学:ギガントピテクス属の近縁動物が明らかに

Nature 576, 7786

ギガントピテクス・ブラッキー(<i>Gigantopithecus blacki</i>)の想像図。
ギガントピテクス・ブラッキー(Gigantopithecus blacki)の想像図。 | 拡大する

Credit: Ikumi Kayama (Studio Kayama LLC)

ギガントピテクス属(Gigantopithecus)は、200万~30万年前に中国南部に生息していた類人猿である。その存在は歯とわずかな顎の断片からしか知られていないが、それらの巨大なサイズから判断すると体重は成体のゴリラの2倍に達したと予想され、それは恐ろしい生物だったに違いない。遺物がほとんど残っていないことから類縁関係の解明は困難で、人類学者たちは、東南アジアで初期のヒト族と同時代に存在したこの謎めいた動物について理解を深めたいと心底願ってきた。今回F Welkerたちは、中国南部の洞窟遺跡で発見された190万年前の大臼歯のエナメル質からプロテオームを抽出し、そのアミノ酸配列を解読している。系統発生学的解析の結果、現生類人猿の中でギガントピテクス属に最も近縁なのはオランウータン属(Pongo)であることが明らかになった。ただし、これら2つの系統は1200万~1000万年前に分岐しており、その近さは相対的なものである。

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