Nature ハイライト

発生生物学:形態形成の波に乗る

Nature 572, 7770

形態形成の際の細胞や組織の動きは、何が原動力となっているのだろうか。T Lecuitたちは、この原動力は、遺伝的制御とアクトミオシンネットワークの自己組織化のバランスであると見ている。ショウジョウバエ(Drosophila)の初期胚では、GPCRリガンドであるFogの局所的な転写を介してRho1/MyoIIが誘導されることにより、後端部で細胞の移動が開始される。これによって、組織規模でRho1/MyoIIの活性化の波が生じ、頂端収縮が背部上皮を前方へと進んでいく。しかし、いったん収縮の波が動き始めると、Fogは無関係になる[つまり、Fog(霧)が晴れて、道が開くわけだ]。局所的なフィードバックの増幅と波の進行に必要な空間的な共役には、MyoIIの収縮性だけで十分なのである。

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