Perspective

タンパク質分解誘導剤に寄せられた期待に応える

Nature Reviews Drug Discovery 22, 5 doi: 10.1038/s41573-023-00652-2

この3年間に標的タンパク質分解誘導(TPD)を行う目的で設計された二価結合型のタンパク質分解誘導剤が初めて臨床試験に進み、いくつかの確立された標的の分解誘導が当面の注目点になっている。これらの臨床治療薬候補の大部分は、経口投与剤として設計されており、多くの創薬研究が、そのことを目的としていると考えられる。我々は、将来を見据え、経口投与剤中心の創薬パラダイムでは、検討対象となる化学構造や化学反応の設計が過度に制約され、新しい分子標的に対する新薬の開発可能性が狭くなってしまうという見解を提示する。このPerspectiveでは、二価結合型の分解誘導剤の現状を概説し、想定される投与経路と必要とされる薬物送達技術に基づいて、分解誘導剤というモダリティーを3分類することを提案する。そして、創薬研究の初期段階で、非経口薬物送達を薬物動態/薬力学モデリングに基づいて実施することで、創薬におけるデザインスペースを広く設定し、利用可能な標的の範囲を拡大し、治療モダリティーの1つとしてのタンパク質分解誘導剤に寄せられた期待に応えるというビジョンについて記述する。

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